擁壁とは、高低差のある土地で、側面の土が崩れるのを防ぐために設置される壁状の構造物です。私たちが住む広島市周辺部では山を切り開いた団地が多く、敷地利用を最大化するため擁壁も多くあります。理想的には、隣家との間は、土が崩れることなく安定を保つ斜面(安息角といい一般的には35度前後といわれています。)を形成すべきなのでしょうが事業性においては厳しいものがあります。
そこで高低差が生まれる敷地を、土や建物の荷重、雨水の水圧などから守るために強固なコンクリートなどで支える必要があるわけです。
自らの命に係わる大切な擁壁ですが維持管理責任は法律として明記されているわけではないようです。とはいえ、注意しなければならないのは、擁壁のある土地を所有する人には、擁壁の維持管理責任があると見なされています。また、地震などで擁壁が倒壊し、下の家にがれきが当たって損壊するというような事故が発生した場合、土地の所有者は、過失の有無に関わらず責任を負う「無過失責任」があるとみなされます。
このようなトラブルを起こさないよう、土地や建物を購入する前に擁壁適合の確認や地盤調査の実施などの対応が必要になってきます。重要なチェックポイントの一つです。
擁壁不適合の場合は、強度を高めるために擁壁の補強工事が必要になります。その費用は非常に高額になるため、できれば擁壁不適合の擁壁がある物件の購入は避けたほうがいいでしょう。