不動産の情報公開、もっともっと必要だと思う理由

建築系の専門紙で、アメリカではAIを活用した家賃操作が問題となっているという記事を見かけました。 記事元:AIで「家賃操作」、禁止相次ぐ
AIが市場の需給を分析し、家賃を自動的に調整することで、不動産所有者に利益をもたらす仕組みだそうです。いいか悪いかは別として、基本的に市場の情報が広く公開されている環境だからこそ成り立つものだと僕はポジティブに受け止めました。
アメリカでは、過去の履歴や周辺地域の相場といったデータが誰でも(消費者もです)簡単にアクセスできる状態にあるため、AIもこれらのデータを利用して的確な予測を行い、家賃設定を最適化できるのです。
一方で、この技術が導入されることで、家賃が全体的に上昇する傾向があるとの批判もあります。需給に基づいた価格設定は効率的である一方、急激な変動や人為的な価格操作の懸念も高まっているということです。ただし、この考えは消費者も情報をプロと同様に取得できる仕組みがあるからこそ機能します。
日本では、情報はほぼプロ側にあり、シュリンクした敷地や空間に詰め込んで価格調整がなされているようなのが現状です。買うか借りるかは結局は消費者が判断するモノ。その判断材料は透明で開かれるべきだと信じています。ここから長文です。ご興味あれば是非ご一読ください。
日本の不動産業界と情報の閉鎖性

たとえば、不動産の査定や相場のデータは、基本的に業者間で共有され、消費者に公開されることは稀です。ポータルサイトで立地と価格からお気に入りの情報を取得できるとはいえ、その中身の詳細については比較しづらいままです。
なにより物件情報はおおまかな地域しか表示されず、地図情報を取得するには問い合わせするしかない状況が続いています。情報公開の基準についても正直よくわからないというのが大多数の見方でしょう。
僕自身もAIを活用して物件の査定を行って思うのですが、技術的にはAI査定の仕組みを公開すれば消費者が自ら物件の価値を把握できます。(少なくとも気になる物件の価格根拠はある程度の売買事例から確認することはできます。価格的な根拠を知りたければ仲介業者や売主に聞くべきです。)しかし、実際にそのデータは一般に開かれていません。この閉鎖的な状況が、日本の不動産市場がまだ十分に成熟していない要因の一つだと思っています。
不動産の情報公開を妄想する

僕はいつも、日本の不動産業界が情報を開放し、AI技術を活用する未来を妄想してしまいます。
そうなれば消費者は自由に物件を比較検討できるようになります。より透明で効率的な市場が実現するはずです。
しかし、いまのままの閉鎖的な環境を維持することが業界関係者にとっては都合が良いのだと思います。ポータルサイトもそんな業者からの広告料で成り立っているため、消費者よりも業者を主な顧客としている現状があります。それでも、消費者が豊かで満足のいく住環境を選択できるようになるためには、情報公開が不可欠だと信じています。
そんな思考の僕たちは、少しでもアメリカの不動産マーケットの環境に近づけるための活動をしているつもりです。
不動産の情報公開がもたらす理想的な変化を勝手に

僕たちにとって一番理想的なのは、情報公開によって立地や価格だけでなく、本質的な商品価値に注目が集まることです。
これは不動産や家以外のほとんどの商品は、価値の競争として当たり前のように成立しています。 情報が適切に公開されることで、消費者はデザイン、構造、性能、環境との調和といった物件の真の価値を評価することができます。
注文住宅の業界では、耐震等級や省エネ等級といった数値基準が導入され、消費者にとってわかりやすくなっています。不動産業界も同様に、物件の価値を簡潔に比較できる仕組みを整備すべきだと感じます。
アメリカの不動産市場では、情報が広く公開されていることから、こうした比較が誰もが可能です。この違いが、日本とアメリカの不動産市場の決定的な違いだと思っています。その違いが街並みの違いにも通じているからこそ、なんとかしたいと思っています。(参考までに、こちらがアメリカのポータルサイトの一つです。)
最後に
そして、それが不動産業界全体の透明性を高め、消費者が安心して選択できる市場の形成につながります。
結果として、本当に価値ある建物や不動産を価値づけることで、住宅購入が資産形成につながると信じています。不動産は単なる居住空間ではなく、人々の生活や価値観を反映する重要な存在です。
だからこそ、日本の不動産市場が進化し、より豊かな生活を提供できるようになることを期待して、微力ながら中古住宅市場の健全化の一助となれるよう取り組んでいます。
長文を最後までお読みいただきありがとうございます。ご質問やご相談はお気軽にお問合せください!
アメリカの不動産ツアーのブログはこちら

かなりボリュウムですが、アメリカと日本の不動産流通の違い、何故に、「おりいえ」が中古住宅リノベーションにこだわるのかの理由を理解していただけると思います。
シリコンバレー不動産流通視察の旅 NO1
シリコンバレー不動産流通視察の旅 NO2
シリコンバレー不動産流通視察の旅 NO3
シリコンバレー不動産流通視察の旅 NO4
シリコンバレー インスペクション視察!
この旅の後、アトランタにも行ったのですが、そちらはまたの機会にご紹介します。