「中古住宅」耐震診断できなくて住宅ローン減税が利用できない!
中古住宅で住宅ローン減税を適用するための要件
先ずは、住宅ローン減税の要件についてみていきましょう。
中古住宅で注目されるのは「築後年数」です。
木造住宅など非耐火住宅の場合は20年、マンションなどの耐火住宅の場合は25年を超えると「築後年数要件」に抵触し、住宅ローン減税の対象になりません。築後年数にかかわらず住宅ローンを利用するためには下記の3つのいずれかが必要になってきます。
①所有権移転までに耐震基準適合証明書を取得する
②所有権移転までに既存住宅売買瑕疵保険の加入手続きを行い付保証明書を取得する
③所有権移転後居住開始までに耐震改修工事を行って耐震基準適合証明書を取得する
このように築年数が古くても国が定めた耐震基準をクリアできれば住宅ローン減税の築後年数要件が緩和されます。
問題になるのが築年数が古ければ古いほど耐震基準を満たさないと判定されるケースが増え、そういった住宅は耐震改修工事を行って耐震性能を向上させる必要があります。木造住宅以外の工法だと耐震改修工事が現実的なコストで実現できないなど、耐震改修工事を伴う方法は実質木造住宅向けの対応策と言えるでしょう。
耐震診断が適用できる工法
一般財団法人日本建築防災協会が発行している「木造住宅の耐震診断と補強方法」に準じた診断業務が一般的に行われている耐震診断と言われます。
この耐震診断の方法が適用されるのが木造在来工法2階建て、木造在来工法3階建て、2×4工法※1なので、RC造、SRC造、鉄骨造、軽量鉄骨造など木造以外の工法は対象外です。また、材料は木でできていたとしてもログハウスのような工法も対象外となります。
※1 建築基準法制定以前の木造住宅は伝統的工法という区分になり、伝統的工法も診断可能なのですが、改修方法が一般的とは言えないので、この記事では伝統的工法は除外いたします。
木造住宅の耐震診断ができる・できない
木造住宅であっても構造によっては耐震診断ができない場合があります。
イレギュラーな構造として、立面的混構造、平面的混構造、スキップフロアがあります。混構造とは読んで字のごとく、構造が混ざっている状態で、例えばもともとは木造住宅にRCのガレージが含まれているとか、全体は木造ですが一部鉄骨が使用されているような状態を混構造と呼びます。
立面的混構造
平面的混構造
スキップフロア
住宅購入の目的は
日本は災害大国です。倒壊まではいかなくても地震などの災害で建物に被害が及ぶ可能性は低くはありません。万が一の修繕の時にも、耐震診断不可物件の場合、手の付けようがない、と判定される恐れがないとはいえません。ご自身は修繕して住み続けたくても、建て替えるしか方法がないというような状況も考えられます。
耐震診断によって耐震補強ができる物件でなければ、安全面から考えても、資産価値としても、大きな損失と言えます。