注文住宅でもない、分譲住宅でもない

もう一つの新しい選択

広島でも駅近が人気?「価値観に流される住まい選び」を考える

広島市で中古住宅リノベーションを手掛ける「おりいえ」です。

昨日の日経新聞、ある新築マンション広告が目に留まりました。東京都心の小規模マンションです。管理費や修繕積立金、販売価格は未定の段階でしたが、販売戸数と駐車場台数の記載がありました。

販売戸数85戸に対し、駐車場17台(20%)。この時点で僕の思考が進みました。「駅近マンションは資産価値が高い」という考え方は首都圏では一般的ですが、地方都市・広島にも当てはまるのかと。。。

広島では一家に一台以上の車を所有するのが一般的な暮らしです。そんな広島と首都圏の暮らしを一緒に考えるのは適切なのか。こんな思考で進めてみます。お付き合いいただけると嬉しいです。

駐車場が少なく、高額な東京のマンション事情

東京都心では、駅からの距離がマンションの価値を大きく左右します。キーワードは「徒歩10分以内」。

少し古いデータですが 検索すると株式会社不動産経済研究所の記事が出てきました。(記事元はこちら

その記事によると、首都圏の新築分譲マンションにおける駐車場設置率は、2007年の77.3%をピークに年々低下し、2017年上半期には42.2%にまで落ち込んでいます。 きっと今はもっと低いでしょう。


冒頭画像の広告は20%、現在販売中の中央区の某タワマンの販売サイトでは1,285戸に対して371台分(28.8%)でした。また、 駐車場料金も高額です。東京都内の月極駐車場代の相場は3万~5万円。上記の二つのマンションもほぼこの相場でした。

そもそも、東京では「駐車場いらない」?

たまにしか東京に行きませんが、公共交通機関を利用していて「待たされる」という感覚がありません。

満員電車の苦痛がどの程度のものかも知らない田舎者ですが、少なくとも出張レベルで「車があればよかった」と思ったことは一度もありません。

毎月3万~5万円の駐車場負担よりも、「駅近」のマンションに住むことで資産価値が保たれるほうが合理的なのでしょう。それと、僕の視点ですがタワマンが建っている場所って、区画整理されていて街全体がきれいですよね。 これは都市計画の視点からも重要で、都市部では「駅近」に開発が集中することで、インフラや街の景観が整備される傾向があります。

駅近マンションの価値が高くなる背景には、こうした行政の都市計画の影響もあるのかもしれません。(広島市も同様でしょう)

広島の住宅事情を考えてみた

では、広島市の状況はどうでしょうか?

●広島市内では、路面電車やバスが広く利用 されていますが、やっぱり車での移動が一般的です。

●働き方も車通勤が可能な職場が多く、最寄りの駅や勤務先近くの駐車場を借りても、駐車場料金は首都圏と比較して手が届く範囲です。(妻談)

●坂が多い地域に戸建てエリアが広がっているため、平地エリアの駅近住宅が特に人気になりやすい。(地方都市なのに地価がメチャ高い)

こんな感じで、広島市では車を所有するのが一般的であり、生活に欠かせないものです。また、広島の住宅価格はエリアごとのばらつきが大きく、平地の利便性が高いエリアほど価格が上昇する傾向にあります。 ただ、都市計画としては東京のような「駅近志向の街づくり」とは異なり、もう少し広域に住むことを前提にした住まい選びができる環境だと思うんです。

広域で考える住まい選び

僕は車で通勤するし、飲みにもたまにしか行かないし、駐車場は2台必要だし、わざわざ高い家賃や高い住宅購入費を払う理由が見つからない人間です。

仮に仕事優先で忙しくても、もし駅近が必要なら、ボロいワンルーム賃貸で最低限の住まいにし、拠点はあくまでも暮らし優先という二拠点生活もアリだと思っています。

いずれにしても、広島市って車での移動がとても便利だと思うんですよね。(高速もそこそこ近いし。昔に比べると住宅も緩和されてきたし)

なによりも、駅近にはない魅力として、広々とした自然環境の中で静かで快適な生活が待っています。 生活利便性の面でも、車があればアクセスしやすい商業施設や医療機関がたくさんあります。

もし、駅近に住む人が休日に大量の買い物を車に詰め込んでいる姿を見かけたら、「それなら駅近じゃなくてもいいんじゃない?」と思ってしまいます。

僕の勝手な思考にお付き合いいただきありがとうございます。最後に、広島市のような地方都市において、「駅近=価値がある」という首都圏の価値観に流されるのではなく、自分たちのライフスタイルや広島市の特性に合った住まい選びを考えてみてはいかがでしょうか? ご一考いただけると嬉しいです。

Model house