広島市で中古住宅リノベーションを提供している「おりいえ」です。

僕たちはこのブログを通じて、「暮らし」についての持論を展開しています。長くこの業界にいて研鑽を積んだうえの思考ですが、若いころは今の考え方とは違っていました。

例えば、注文住宅の営業をしていた頃は、「これから人口が減少するのに、遠い郊外に家を建てて、将来売却する必要に迫られたときはどうするんだろう？」と考えていました。 「立地がすべて」とまでは思わなくても、万が一の時のことを考えるべきだと。はい。資産性という考えに侵されていたのです。

しかし当時から暮らしの空間価値に重きを置く僕としては、その実現にはどうしても予算を引き上げてもらう必要がありました。 ただ、当時は地価も安定し、住宅建設費も今よりかなりリーズナブルでした。おそらく、今と比べれば土地価格も建設価格も3割以上は安かったでしょう。

起業し、中古住宅流通のサポートをする中で、僕が強く感じたのは「売却される方々の暮らしの充実度」でした。

いい家に住んでいた人は、人生そのものが明るく、充実している。これは、「良い立地に住んで高く売れた」というのとはまるで違う感覚です。

日本の不動産市場では、築30年も経てば、どんなに丁寧に住まわれた家も基本的に資産価値を認められにくい。なので、家に多くの予算をかけた人やメンテナンスを続けた人は、費用と売却価格の差が大きくなります。 つまり、経済的価値としての資産性という意味では大きな損失です。

それでも、僕が出会った売主様は、人生の成功者が多く、何よりもどの家にもこだわりや愛情を感じることができました。きっと、暮らしを包む家が、そこに住む家族の活力となり、良い人生をもたらすのだと考えるのです。

「住宅の設計は『設計者』『住み手』『敷地』の三者が出会ったときに始まり、良い住宅は、その出会いがうまくいったときに生み出される。」 これは、僕が常に心掛けている言葉です。（参考：「目を養い手を練る」より）

口田南リノベーションを初めて見たとき、間違いなく「この出会いがうまくいった家」だと確信しました。

窓から見える景色や間取りの動線、一つひとつが無駄なく完成されている。壁を取り払ったり、大きく間取りを変更しなくても美しい暮らしが叶う家です。

もし、これが駅近の狭小地だったら、こうはいかなかったでしょう。

この家の売主様は、家を相続されたご子息でした。お父様がこだわり抜いたこの家を再生する僕の考えと、ご家族の思いが一致し、「父も喜んでいることでしょう」と言っていただきました。 建物価値がない価格で購入させていただいたにもかかわらず、金融機関の方からも「こんな和やかな決済はそうあるものではない」と言われるほど、心の引き渡しができたと感じています。

こうした価値観は、注文住宅でも中古住宅リノベーションでも、「立地を最優先した家選び」では叶わないのではないでしょうか？

口田南の売主様も、おそらく「立地」を最優先してこの場所を選んだわけではないでしょう。広い土地、望む暮らしのスタイルを実現できる場所を、設計者と相談しながら選んだはずです。

そこには、予算とのバランスを考えた選択があったのだと想像します。

どうしてもその場所にこだわる必要がある人もいるでしょう。しかし、もしそうでないなら、ぜひ「広い視野で物件を探す」ことをおすすめします。

例えば…

✔ 広い庭でゆったりとした時間を過ごす生活
✔ 余白のある空間が生む心地よさと豊かさ
✔ 年月を経て美しくなる素材がつくる空間

これらを優先した売主様は、きっと「駅から遠くても、多少不便でも、この家で暮らせるならそれでいい」と思えたのではないでしょうか。（僕の想像ですが…）

「住む」というのは、通勤や買い物の利便性だけで決まるものではありません。 僕たちは、「暮らしを優先すべき」という考え方です。だからこそ、立地だけで家を選ぶ前に、一度「家そのもの」に目を向けてみてほしい と思うのです。

最後に、最後まで僕視点のブログにお付き合いいただきありがとうございます。こんな視点で口田南リノベーションをご見学いただければ、このブログで伝えたかったことを実際の空間で感じてもらえるはずです。

📸 3月17日撮影、その後公開予定です！

📅 早く見たいという方は、3月15日以降で事前案内可能です。お気軽にご連絡ください！（僕らは営業しません。お気軽に！）